カンボジア、シェリムアップの治安。アンコールワット観光に行く前に知っておきたいこと
「嘘だろ!おい!」
深夜2時。夜中にふと目が覚めて、部屋の惨状に思わず声を上げた。
「ちょ、ちょっと。どうしたの?」
かなりの剣幕だったのだろう。すぐに同じ部屋で寝ていたエストニア人が起きてきた。起こさないといけないと思っていたところだから、ちょうどいい。
だがまだ声をかける余裕はなかった。
ベランダに目をやると、投げ捨てられたズボンと財布、パスポートが目に入る。どれも自分のもの。何が起こったかはもう明白だった。
「君も荷物を確認してくれ」
彼女の方に向き直ると、そう声をかけた。
「誰かに部屋に入られた」
この出来事は僕がアンコールワットを見るため、シェリムアップに行った初日に起こったことです。
アンコールワットは、今や世界でも日本人に最も愛されている観光地の一つです。
ですが、アンコールワットを見るため訪れた街シェリムアップで、犯罪の被害にあう人が後を絶ちません。
せっかくの旅行で犯罪にあってしまっては元も子もありません。
今回はシェリムアップに滞在していた経験から、犯罪を避ける方法についてお話したいと思います。
カンボジアに行く際に心がけたいこと
カンボジアに行く時に心がけたいことをまとめると以下のようになります。
- お金やカードは財布とウエストポーチなどに分散させる
- 貴重品は部屋におきっぱなしにしない
- スマホはテーブルの上に置かない
- 簡単に人を信用しない
- 高いものを持っていることを見せびらかさない
シェリムアップで起こる犯罪
シェリムアップでは銃やナイフを使った強盗などの凶悪犯罪は多くありません。シェリムアップで起こる犯罪。その多くが軽犯罪です。
代表的なものが置き引き、過剰なぼったくりそして今回僕が遭遇したような住居侵入です。
それではそうした軽犯罪への対策を順に見ていきましょう。
1、お金やカードは分散させる
まずもし窃盗などの被害にあった時のため貴重品は分散させておくことがいいでしょう。
例えば自分の場合、カンボジア滞在中、ドル用のメインの財布、レアル用の財布、ウエストポーチなどのように、現金やカードを分散して所持していました。
盗まれた時のリスクは最小限に
財布一つにまとめていると、いざ盗まれたり奪われたりした場合にすべてを失ってしまいます。
もし銀行のデビットカードと、クレジットカードのように分けておけばもしもの際にも片方で対応できますし、仮に現金を盗まれても被害は最小限で済みます。
実際に部屋に侵入された時の150ドルほど所持していましたが、分散して所持していたために被害額としてはおよそ半分で済んだのです。
貴重品は部屋に置き去りにしない
日本人の感覚では信じがたいことですが、実はカンボジアでは、宿泊したホテルのスタッフが犯罪に加担することも珍しくはないと言います。
例えば清掃の人間が勝手に部屋に入ってものを持ち去ったり、ホテルマンがセキュリティボックスを勝手に解除して、中身を持っていく。貴重品を置いていくのは、よほどセキリティに確証がなければ危険です
住居侵入、僕が実際に遭遇した被害
実は我々が遭遇した住居侵入でも、ホステル側の関与が十分に考えられました。
というのも僕たちは寝る前に、窃盗を警戒してベランダ側のガラス扉と正面扉の両方に鍵をかけて寝ていたんですが、我々が起きた時、どちらの扉も開け放たれていたんです。
犯人の杜撰な偽装工作
犯人は偽装のためか、僕の財布をベランダ側に友人の財布は扉側に放りだしていました。
しかしガラス扉は内側からのみ開閉できるタイプのもので、鍵穴もありません。ガラスを傷つけずに開けるのは不可能に見えました。
となれば扉から侵入してきた可能性が高いのですが、実は宿泊時ホステル側はドミトリーには鍵はないのだと、我々に鍵を渡してきませんでした。
そのためホステル側の人間が盗んだ、もしくは犯人に鍵を斡旋した可能性が高かったんです。
住居侵入を避けるためにはどうするか
ホテルの場合、セキュリティがしっかりしたホテルを選ぶのが一番です。
もし低層階に泊まる場合は、窓に鉄格子つきでドアは鍵で開けられるものの他にスライド式など、内側から飲み開けられる鍵があるホテルだと安心。チェーンもしっかりかけましょう。
予算的に厳しい人は、格安ホテルよりは相互監視のできるバックパッカーやホステルの方がまだ安心です。ただしその場合は僕たちが泊まったような人気のないホステルは避け、少しでも怪しいと思ったら宿泊は見合わせることをオススメします。
3、スマホをテーブルの上に置かない
カンボジアで多い犯罪にIphoneなどスマートフォンが盗まれると言うのがあります。
特に警戒心の薄い日本人のIphoneは、専門の窃盗団がいると言われるくらいカンボジアの泥棒にとっては良いカモになっています。
Iphone1台はカンボジア人の給料半年分
この記事執筆時点のIphone7の販売価格は77000円。これは一ヶ月の平均給料が1万円程度のカンボジア人にしてみれば半年分の給料以上の価値があるものとなっています。
日本人の平均給与は2016年で440万だと言いますから、感覚的には新車一台分の価値のあるものが転がっているということになります。
彼らにしてみれば心が揺らぐのも無理ない話と言えるのじゃないでしょうか。
日本の感覚でテーブルの上に置くのは危険
特に日本人がしてしまいがちなのが、カフェなどでテーブルの上にスマホを置いてしまうこと。
もちろん置いたまま席を離れてしまえば1分も経たないうちに持って行かれてしまいます。
それこそ日本で席を取っておく感覚で、カフェの机の上にスマホを置いて注文に入ったりすれば…確実になくなります。
席についていても、一人が注意をそらしている間に、もう一人が盗んでいくというような方法を使う連中もいるというので、使う時だけ取り出すようにしましょう。
僕の行っていたIphone盗難対策
僕の場合Iphoneは見た目でIphoneとはわからない頑丈なケースを付け、そのケースについているストラップを常に手首にかけた状態でポケットに入れて携帯していました。
やりすぎ。と思われるかもしれませんが、確実を期すに越したことはありません。ヨーロッパの旅人の中には自分のベルトとIphoneをコードでつないで携帯している人も見たことがあります。
とにかくスマホは肌身はなさず、常に身に付けるようにしてください。
4、人を簡単に信用しない
残念なことながら、カンボジアでは簡単に人を信用すると、厄介な状況に巻き込まれてしまうこともあります。
トゥクトゥクドライバーの悪事
トゥクトゥク*1は東南アジアでは一般的な乗り物です。しかし麻薬や売春などの斡旋を行っているドライバーなど、犯罪に関わっているドライバーも多いのが実態です。
中にはパンクしたと言って、修理代を払わせたり、食事を無理やりおごらせようとするドライバーや、突然やはり金額が足りないと追加の金を要求されたという人もいます。
遠出をする時はホテルに頼む
そのためトゥクトゥクを使って郊外などに行く際には、よくドライバーを見極めることが必要です。
ホテルには大概いつも斡旋しているドライバーがいたりする人がいるので、その人に頼むか。実際に利用した人にドライバーの連絡先を聞いたりできればもっとも安全。
道で捕まえたドライバーでも、こちらが毅然とした態度をとっていれば吹っ掛けてくることは少ないので、つけこまれないような態度を心がけましょう。
日本語で話しかけてくるカンボジア人には要注意
カンボジアで道を歩いていると、たまに日本語で話しかけられることがあります。
しかしほぼすべての場合において、日本語で日本人に話しかけてくるようなカンボジア人は、詐欺かぼったくりか、怪しいマッサージが目的です。
いちいち相手にしているときりがないので、適当にあしらって通り過ぎるのが賢明でしょう。
5、高いものを持っていることを見せない
最後に大事なことですが、高価なものや高額の現金を持っていることをあまり周りに知られないようにするのは大切です。
別に見せびらかすつもりはなかったとしても、買いものする際に大量の現金が入った財布を見られたりすれば、あとをつけられて盗みに入る目星をつけられてもおかしくはありません。
日本人というだけで、金を持っていると思われるのは事実ですが、現物を見せて刺激することは避けた方が賢明です
まとめ
日本は平和な国です。規律に従うのが得意な国民性と相まって、世界でも有数の治安を誇っていることに疑いの余地はありません。
ですがカンボジアは違います。現実的なことを言えば、貧しく、無秩序が横行している国なのです。
日本では当然のようにできることが、全くできないのが海外。
せっかく行った犯罪にあって嫌な思いをしては元も子もありません。
アンコールワットでの休日を楽しいものにするためにも、注意は怠らないようにしてください。