TOEICのための勉強はやめて話せるようになろう。ペラペラ話したい人のための英会話攻略法
『TOEICの高得点をとったのに英語が話せない』
そんな話を聞くのって珍しくないですよね。
だから英語で話すのが難しいとか、自分には無理だなんて思っちゃってる方、結構多いんじゃないでしょうか。
でも英語を話すのって実は簡単なことなんです。僕のように世界をフラフラしているちゃらんぽらんや、タイの屋台で焼きそば売ってるおばちゃんだって喋れます。真面目に勉強やってるみなさんが喋れないわけないんです。
英語が喋れないのは能力が足りないせいじゃありません。勉強の仕方さえ間違えなければ、が間違っているせいです。
僕は各国を廻り、現地の人びとや旅人たちなどと触れ合ってきた中で、相手とコミュニケーションと取るための道具としての英語について考えてきました。
その結果気づいたのは、TOEICにはTOEICの攻略法があるように、英会話には英会話の攻略法があるということです。
今回はそのことについてお話しします。
意外と低いペラペラへの道
英会話の攻略法を身につけるための攻略法って結構シンプルです。
一言で言えば学習範囲を絞り、その範囲を瞬間的に使いこなせるようにすること。これだけ。
その範囲はと言えば、単語数で言って2000単語、多めに見積もっても3000単語程度。
文法で言えば過去完了系程度までの内容です。
言ってしまえばこうした中学英語程度の内容を知っているだけで、なんとか話せるどころか流暢に話せるというレベルにまで英語は伸ばすことはできるんです。
中学レベルでなぜ「話せる」の?
「おいおい、また中学レベルで話せるとかいうやつか」とか「そんな簡単な内容で話せるわけがない 」とか思われているかも知れません。
でも戻るボタンを押す前にちょっと考えてみてください。
難しい単語や言い回しは避けられる
日本語で話している時、難しい単語や気取った言い回しっていつもするもんですか?
いつも小難しい言葉を使いたがったり、回りくどい喋り方をする。そんな人が周りにいたら、「あぁ、この人あんまりコミュケーションが得意じゃない人なのかな?」とか思いませんか?
これは日常会話でも仕事の上でも、一般的な会話では相手に伝わることが一番大事なことだからですよね。だから誰にでも伝わるわかりやすい言い回し、簡単な単語を使うことが優先される。
相手が理解しているかどうかという点を無視して、自分の喋りたいことだけ喋ってしまうと、ちょっと変に思われてしまうんですよね。
英語は簡単な内容が90%
これって英語でも同じです。英語が中学レベルで十分だと言われるのは、日本語同様わかりやすさ、伝わりやすさを考えると、そのレベルの単語、文法の使用頻度がすごく高くなるからなんです。
孫正義氏の右腕だった元ソフトバンクの三木雄信氏も著作の海外経験ゼロでも仕事が忙しくても「英語は1年」でマスターできるの中で、Oxford Dictionary 3000に触れていますが、3000単語あれば英語は流暢に話せるというのは実はよく知られていることです。
2000単語、2500単語でも十分?
実際に数年に及ぶ英語圏の生活で、元大学教授から狩人まで、様々な社会集団の人たちと寝食を共にし、英語を耳にしてきた経験から言えば、本当に使用頻度の高い言葉はもっと少なく収まるんじゃないかな、と思います。
仕事を含め、普通の生活をしようという場合には、それこそ必要な単語は2500単語程度。下手をするともっと少ない2000単語程度でも対応できてしまうんじゃないでしょうか。
というのも難しい単語は簡単な単語で言い換えることができますし、相手が言った単語を知らなくても、相手にどんな意味かを尋ねることで、違和感なく会話を続けていくことは可能だからです。
もちろん専門分野があってその内容を英語で話さなければいけない、という人であればその内容の単語を覚えておいたほうが楽です。ただTOEICのように広い範囲で語彙力を増やすことは、英会話を始める段階では行う必要はないんです。
知っているのに喋れないわけ
「デタラメ言いやがってこの野郎。中学レベルの単語は知ってるが喋ることなんてできねえぞ」
なんて声が聞こえてきます。まぁ、そうですよね。
日本人のほとんどは最低でも6年以上学校で勉強を習ってきています。その期間触れる単語の数は大したもので、例えば大学受験でセンター試験を受けた人であれば、知っている単語は5000を軽く超えるでしょう。複雑な文法も知っています。TOEICの高得点を取ろうとすると、それこそ18000単語くらいは必要でしょうか。
語彙力が高くて、喋れない日本人
英語圏ネイティブと話していると、「日本人がやたらに難しい単語を知っていて驚いた」なんて話を聞いたのは一度や二度ではありません。ろくに受け答えはできないのに、ネイティブでもあまり使わないような単語を突然言い出したりするのだそうです。
知識優先の学校教育
今現在、学校英語は「知識」優先です。
採点をして、順番をつけなきゃいけないというシステムがある中で、最も簡単かつ、効率よく行えるのが、知識の量を競わせることですからね。
だから成績として差のつけやすい、単語の数とか難しい文法とかの方が判断基準として重視されてしまう。要はいい成績を取ろうとすると、たくさん単語を覚え、複雑な文法にも手を出す必要があるんですよね。
学校英語とさして変わらないTOEIC英語
TOEICなどの資格系でもこれは同じです。TOEICは資格ですから誰にでもわかりやすい方法で、優劣をつける必要があります。だから内容としてはさらに難しい単語や、文法知識などを競わせるようになってるんです。
しかもこうしたテストでは選択式が多くなりますし、1問を回答するのに短くとも10秒程度はあるでしょうから、それほど深いレベルで理解していなくても、回答することはできます。
英語は暗記科目ではない
ただそうやってでまるで暗記科目のように英語を扱ってきたために起こった弊害が、会話ができず、単語も記憶に定着しないという結果を生みました。
学校卒業後何年かたった人の中には、あれだけ苦労して覚えた単語を一つも覚えていないということもあるのではないでしょうか。
学校は勉強を教えるより、勉強の仕方を教えるところ
学校は勉強を教えるというより、勉強の仕方を教えるところという側面があります。
僕自身もそうでしたが、 学校でこうした英語に触れてきた人は、あまり他の英語の勉強の仕方に触れる機会がありません。だから英会話をしたいと思うのに、学校英語のやり方の延長で通用する、TOEICの点数を稼ぐための勉強をしてしまうんです。
もちろん出世や転職のために、英語の資格を取ることを否定しません。
ただ英会話には英会話の学習法があるということです。
限られた範囲を「使いこなす」とは
しかし最初に言ったように、英会話で重要なのは限られた範囲を使いこなせるようにすることです。必死に新しい単語を覚えたとしても、会話で使えなければ知らないのと同じです。
「使いこなす」ためのレベル
では会話において、使いこなすというのがどの程度のレベルなのか、と言うと
1、相手の言葉を聞いて内容を理解する
2、返答を考える
3、口に出す
という一連の流れを、2秒以下でできるようになることと言ってもいいでしょう。
この程度の短い時間しかないとなれば、返事をする時に日本語で考えて翻訳するような時間はありません。
もちろんこの記事でも書いたように、多少の時間を稼ぐことはできますが、これはあくまで話す内容を考えるためのもので、いちいち日本語を翻訳していてはいくら時間があっても足りません。
それこそ習熟レベルとしては、学校で決まり文句のようにやった
How are you?
に対して
Fine Thank you and you?
を反射的に返すぐらいの感覚で使えるようになるのが最終目標です。
学校レベル、TOEICレベルで覚えても役に立たない
なぜ単語をたくさん増やすことをお勧めしないのか、わかってもらったでしょうか。
英会話においては、1つ1つの単語に求められる理解レベルは、学校や資格試験で求められるものとは質が異なります。
日本語での翻訳を覚える必要はありませんが、概念は理解してなければダメで、必要な時に瞬時に取り出せなければいけない。
そのためには学校で「覚えた」と言っているレベルでは何の役にも立たないのです。
ですからやみくもに数を増やしすぎると時間が足りなくなってしまいます。だからまずは英会話での頻出範囲に集中して、土台を作り上げることが大事なんです。
使いこなすための具体的学習アイディア
実際にどうやって勉強をするかのアイディアを紹介します。これはもちろんただの一例です。英会話の勉強では自分がモチベーションを維持できる方法がベストなので、試してみて少しずつ自分にあった勉強法を見つけるようにしてください。
リスニング、文法を強化する「ディクテーション」
最初にオススメしたいのは、ディクテーションと言う方法です。
この方法では、英語音声を聞きながら、聞いた文章を書き出していくのが基本となります。スクリプトが付いていて、音声がゆっくり目のものならば好みのもので構いません。
基本的に書き出している間は、文字列をただ追うのではなく、口に出して繰り返すようにすること。間違っているなとか、聞き取れないなと感じても、一通り最後までやることが重要です。
一度通して聴き終わったら、スクリプトを見て自分の聞き間違いを訂正し、もう一度聞きとるようにしてください。内容と発言内容を確認した後にもう一度聞くと、予想以上に内容が聞き取れ理解できることに気づくはずです。一般的なイメージと違い英語のシャワーや聞き流しは効果が薄いので、しっかり内容を理解しながら聞くようにしてください。
脳は複数の刺激を受けることで、記憶が定着しやすくなるので、可能な限りの感覚を総動員するのが大切。少し怪しいと感じるかもしれませんが、音声の内容を頭の中に思い受かべて見るのも効果的です。
おすすめPodcast
個人的にディクテーションで使っていたのはPodcastでダウンロードできるESLpodcast。
教材の数が多いのと、ゆっくりと通常スピードの二つの再生スピードがあるのが特徴で、内容的にも会話に重点をおいているので、参考にしやすいです。
Iphoneなどpodcastが利用できるものなら公式で、アンドロイドならPodcastaddictなどのアプリを使用することで会話部分のスクリプトも参照可能。
説明部分がわからない人は、飛ばして会話部分だけ聴くようにしてもOKです。
作文で文法能力を強化
といっても難しい内容をしなければいけないわけではなく、それこそThis is a penレベルの英語から始めたので構いません。
これは簡単な文章の作り方…文法を感覚として頭に刻みつけるためのものなので、とにかく単純な英語の文章が反射的に作れるようにトレーニングしてください。
僕が最初にこの方式を始めた頃に参考にしていたのはどんどん話すための瞬間英作文トレーニング (CD BOOK)。
この筆者の方は何冊か出されていますが、個人的には最初の1巻だけで十分です。
この本を読み切る、例をやり切るというよりは、この本を参考に自分なりの勉強方法を探す方が効率的です。
文章を作る時には日本語の文章を英語に訳すのではなく、状況を頭の中で思い浮かべてそれを英語で表現する形でトレーニングを行うこと。日本語が英文作りに絡まないように心がけるのが重要です。
単語力を強化しよう
このサイトの単語リストのように「2000 English Word」や「3000 English word」のような言葉で調べると再頻出単語リストが出てきます。
これらの単語リストをざっと見て、使えるようになった単語と、そうでない単語と単語とを分けて行きましょう。
少しでも使い方に不安のあるものは、別にメモしておき、辞書などを参考にしながら英作文をして頭に叩きこんでいきます。
単語を覚えるときは、自分の状況と関連づけて覚えるパーソナル化のテクニックが便利。単語を訳語でなく、概念で理解できるようになれば使いこなすのは楽になります。
まとめ
単語一つ一つの理解力をあげて、使いこなせるようにする。
これは最初はちょっと難しいように感じるかもしれないですが、労力的には1万を超える単語と複雑な勉強をしなければいけないTOEIC対策よりはずっと楽です。
何より2000−3000単語と中学レベルの英文法に集中するだけで、ネイティブの85−90%のレベルに達せられるわけですから投資効果としては抜群です。
何よりこうして一旦使いこなすための土台を作ってしまえば、会話相手に尋ねたり、本で見た単語などもすぐ自分のものにすることができるようになってきます。
ここまでくれば、もう誰がなんと言おうと、どこに出してもペラペラの英語話者。
もし英会話をしたい、と思っていて勉強法が分からずTOEICなどの勉強をしているのなら、一度英会話攻略法を試してみてください。